2005年07月30日

【書評】PFI・PPP実践マニュアル―ここが知りたかった事業実施手順4

【評価】
PFIの公共側手順に関する中級書


【概要】
本書では、民間委託(業務委託・公設民営)、デザインビルド方式、第三セクターとPFIを、PPP(官民共同事業)の対象領域として取り上げている。PPPの概説と民間側の手順・留意点も記されているが、本書の主テーマは公共側を中心としたPFIの手順と留意点である。

公共側の手順は大きく以下の7つに分けて合計46のポイントについて解説されている。
(1)事業化の是非の検討
(2)事業化の可能性調査
(3)事業実施方針の策定・公表
(4)事業化の決定と公表
(5)入札説明書の策定・公表
(6)事業者の公募・審査・契約
(7)事業の実施とモニタリング
また巻末には事例編としてDB(デザインビルド方式)、PFI、第三セクターの3つの事例が紹介されている。


【コメント】
公共側46の手順、民間側8の手順に分けて一問一答に近い形で構成されているのが本書の特徴。一つひとつのポイントについて理解しながら読み進めることができる点は評価できる。

本の性格としては、PFIに関する入門書ではない。PFIについて既に一定の関心を持っている人が、PFI・PPPについて理解を深め、次のステップに進むまでの繋ぎのための本だろう。

実務者向けには、本格的に取り組むまでの軽いウォーミングアップとして位置付けられるだろう。文中では、様々な手法や手段の得失などが整理されている表が多用されており、理解を深めるのに役に立つ。一方で、詳細な契約条項等が記されている訳ではないので、完全な実務用マニュアルとしては使えない。

大学生など学習者は、本書で概念的な説明だけでなく実務的な側面を知ることができる。かつあまり細部に入り込んでいないので読みやすいと思う。また文中の図表などはレポートの作成にも役立つだろう。但し、完全な初学者が一番初めに読む本としては面白味に欠けるかもしれない。

巻末に事例編として3つの事例が紹介されている。この内、PFIの事例は、2本のPFI事業を同時並行させたことが特徴的な、「市川市立第七中学校校舎建設等事業」である。この事例には23ページの紙幅を割いている。
これらの事例紹介が、かなり詳細に記されているのがよい。


【参考情報】
日本政策投資銀行ニュースリリース(平成15年7月8日)
市川市の中学校PFI事業をプロジェクトファイナンス方式で千葉銀行とともに共同アレンジ

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