【書評】おじいちゃん戦争のことを教えて―孫娘からの質問状

おじいちゃん戦争のことを教えて―孫娘からの質問状
【評価】
日本の近現代史について考えるきっかけに

【概要】
アサヒビールの副社長を務めた著者が、アメリカで学んでいる娘からの質問に答える形で、太平洋戦争や戦後日本、天皇制などについての史観を記した一冊。
また本書の中では、この時代を生きた若者としての当時の心情も率直に語られている。
イギリスによる清への侵略行為やアメリカによるハワイ・カメハメハ王朝の併合など、帝国主義の時代背景を捉え、日本を戦争以外の選択肢しかない状況に意図的に追い込んでいくアメリカの行動を指摘する。また、焼夷弾や原子爆弾による非戦闘員への無差別攻撃やシベリア抑留や北方領土問題も明確に指摘し、事後法による東京裁判の醜悪にも言及している。

【コメント】
歴史の教科書ではないので、必ずしも体系的・網羅的ではないし、読者が自分で調べたり他書に当たらなければならない部分も多い。それでもこの本が魅力を持っているのは、娘への愛情のこもった語りかけと、現代の日本がともすれば失いがちな誇りを伴っていることによるだろう。
戦争という不幸な出来事を反省する気持ちと繰り返さない努力の大切さは誰もが持っているものだろう。そのためには、戦争の真の原因を把握し、対策を持つ姿勢が必要になる。ただ全面的に非を認めることで思考を停止しては過ちを繰り返すことになる。
偏った歴史観を見直すきっかけになる良書だ。

Comments

1. Posted by かわせみ   2005年08月16日 14:00

ブッシー大統領。
かわせみです。「おじいちゃん戦争の
ことを教えて」の著者の中條さんは、
その信念を広めるために月一回中條塾
というものを開催しております。
(正確には中條塾世話人が主催して
中條さんは数回に一回参加・講演を
されます）
もしご興味がございましたら、世話人
をご紹介しますよ。

2. Posted by ブッシー大統領   2005年08月18日 18:08

流石顔が広く情報も豊富なかわせみさんですね。是非紹介頂きたいです。
かわせみさんとは共通項が多くて驚いています。今度のお話も楽しみにしています。