2005年08月17日

「桔梗」 〜祖母が遺したもの〜

桔梗
雨上り庭の芝生に映えて咲く一輪の桔梗はむらさきの濃し
1000首を超える歌を詠んだ祖母が、その中から500余首を選んで出版した歌集。
この本を贈られた人を中心に、今でも弔問客が絶えないとのことだ。本当に素晴らしい人だったと思うし、訪れてくれる人にはありがたく思う。

眞夜中の激しき電話に目覚めたり「男子誕生」の知らせをば受く

一夜明け娘よりの電話に驚けり親子健かな様子知らせて

いまだ見ぬ初孫ひと目と思へども面会出来る時を待ちゐる

湯舟の湯こぼれんばかり初孫が手足のばして百面相す

育児法その初孫に途惑ひつつ狭きマンションに長き二十日間

片言を十ほど覚えし孫にして大人に交はり賑ふ夕餉

一と月に覚えしダンス数々を孫が踊れば大人ら歌ふ

名にし負ふ百日咳に苦しむか孫娘の咳に夜毎目覚めぬ

じっちゃんと孫の覚えし片言が会社の帰り呼びつつ待てり

話すこと上手になりしが我がことのみいひつつぞ切る孫の電話は

親の許離れ来りし孫なれば氣づかいながら明けし一夜か

「ばあば」はと呼ぶ声聞こえ孫と娘が公園帰りのみだれし靴音

娘になれ孫は早々目覚めをりそのかん高き歌声きこゆ

一日々々上手になりし孫の話に思はずつられて家族ら笑う

雪降ればこまめに動く孫にして我が買いやりし長靴をはく

長兄が雪をトラックに乗せ来れば孫ははしゃぎて雪ダルマ作る


この本を開けば、情景が鮮やかに浮かぶ。本当によいものを遺してくれたと思う。
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この記事へのコメント
1. Posted by ブッシー大統領   2005年08月19日 08:44
8月18日の日経新聞のコラム「春秋」に申し合わせたような内容があった。
万葉集の時代、「朝顔」とは桔梗のことだったという。古来、朝顔は美しい女性にたとえられ、「朝の容花(かおばな)」と呼ばれたそうだ。

コラム後半の朝顔は西洋朝顔だが。
「朝顔に喪服のひとのかゞむかな」(滝井孝作)
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