2005年08月27日

【書評】ひとつ上のプレゼン。3

ひとつ上のプレゼン。
4844320807
眞木 準
(インプレス 2005-03-03)
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by G-Tools
【評価】広告業界のプレゼンに興味が深い人なら楽しめるか


【概要】
編者を含め19人のクリエイターの「プレゼン」論を集めた本。

ビジネスプレゼンテーションというよりは、広告業界特有の「プレゼン」に焦点が当たっている。「プレゼンテーション」自体がもともとは広告業界用語だということだが、本書には広告業界のマーケティング担当者のプレゼンさえもほとんど対象に含まれていない。

執筆者たちの肩書きはおおよそ以下の通り。
クリエイティブ・ディレクター、コピーライター、CMプランナー、アートディレクター、建築家、服飾デザイナー。

各執筆者の文章と実例をいい意味で寄せ集めて構成しただけの本だ。一応、プレゼンの「自分」、プレゼンの「相手」、プレゼンの「言語」、プレゼンの「関係」、プレゼンの「演出」と章立てはされているが、これも便宜的なものにすぎない。だから各クリエイターの生の考えがそのまま入ってくる。


【コメント】
場面が業界でのプレゼンに集中しているという点と、見解が集約されていない点を考慮すると、広告業界の人向けの本であると言ってよいと思う。

読者から見れば、当然執筆者間で見解が異なっている点があることが分かる(これは読者特権だ)が、この違いが何に起因するのか考えることも、業界に関わりの深い人であれば面白いだろう。

また以下のような点は、各執筆者にほとんど共通した見解だ。業界の人であればおそらく大きくうなずく主張なのだろう。
・パワーポイントは使わない
・企画書は1枚〜多くても数枚
・競合プレゼンには否定的


しかし一方で、ビジネスプレゼンテーションに活用できるかという観点では、共通点や使える点も勿論あるが、相違点の方が目についてしまった。パワーポイントを駆使したプレゼン、一定の厚みのある報告書、コンペで勝つプロポーザル(提案書)。こうしたものを期待するビジネスパーソンには本書は必ずしも適切でないと言わざるを得ない。

私が得られたビジネスプレゼンへの視点を参考に付記すると、例えば以下のような点だ。
・プレゼンは、一緒に仕事をする仲間を見つける場
・プレゼンの場では、「解決すべき問題の本質をわかっている」と感じさせる訴えかけが必要
・広告というのは、商品を売ることが目的。いい作品をつくりたいと思うのと、売れてほしいと思うのとでは違う
・相手を説得してはいけない。それよりも「共感」してもらったほうがいい


本書の中で、電通の中村禎氏が、2003年に阪神の星野監督(当時)の個人広告について言及している。優勝インタビューの第一声、「あ〜しんどかった」は広告として計画されたコピーだったということだ。星野氏の戦略性と広告コピーの力を感じさせるエピソードだ。

<参考>
さるさる日記−勝谷誠彦の××な日々。 2003年09月16日
タカの目(第146回) 2003年09月16日


それとどうでもいいことだが、書名の「モーニング娘。」「プロ論。」のような句点が、ちょっと気になる。
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1. 「第43回宣伝会議賞」と「ひとつ上のプレゼン。」  [ Good Bye Internet .com ]   2005年10月25日 13:23
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