2006年01月01日
【書評】決断力
【評価】羽生ファンへの一冊、羽生将棋の思考の一端が明らかにされる
【概要】
将棋の第一人者、羽生善治がその思考の一端を明らかにした書き下ろしの一冊。
将棋を中心に彼の考え方が示されるが、将棋以外についてもよく勉強されていることが分かる。本書の中にも、例えば米国カーネギーメロン大学(ロボット研究)の金出武雄氏、フィールズ賞受賞の小平邦彦氏、カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授の中村修二氏、マイケル・ジョーダン氏などの言葉が引かれている。
ある程度将棋や羽生について知らないと、話が分かりにくいと思う。誰でも面白く読めるというよりは、将棋ファン・羽生ファンが対象だろう。
【コメント】
著者自身が読者を意識しているからだろう、教訓として使えるような表現も多く見られる。しかし、本書の本質は、羽生自身の気概・気構えを彼自身が世の中に宣言しているところにあるように思われる。
彼の言葉から何を読み取るかは、まったく読者に任されている。私の興味に合致したのは以下のような内容だった。要約し引用する。
【概要】
将棋の第一人者、羽生善治がその思考の一端を明らかにした書き下ろしの一冊。
将棋を中心に彼の考え方が示されるが、将棋以外についてもよく勉強されていることが分かる。本書の中にも、例えば米国カーネギーメロン大学(ロボット研究)の金出武雄氏、フィールズ賞受賞の小平邦彦氏、カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授の中村修二氏、マイケル・ジョーダン氏などの言葉が引かれている。
ある程度将棋や羽生について知らないと、話が分かりにくいと思う。誰でも面白く読めるというよりは、将棋ファン・羽生ファンが対象だろう。
【コメント】
著者自身が読者を意識しているからだろう、教訓として使えるような表現も多く見られる。しかし、本書の本質は、羽生自身の気概・気構えを彼自身が世の中に宣言しているところにあるように思われる。
彼の言葉から何を読み取るかは、まったく読者に任されている。私の興味に合致したのは以下のような内容だった。要約し引用する。
- 企業秘密だから言わないが、自分が「ハブ・ヨシハル」と対戦したら攻略する作戦はある。しかし自分で分かっていてもその欠点は消せない。トッププロの欠点を裏返すと、それが一番の長所であることが多い。だから消そうとするとまた別の欠点が出てきてしまう。
⇒長所についての見方に納得させられた。
- 将棋にかぎらず、考える力というものはそういうものだろう。何事であれ、一直線に進むものではない。
⇒「考える」ことは一直線でなく、行きつ戻りつを繰り返すものだということに共感した。
- 若いときは、勘とかハートをベースにした戦いはできないから、片っ端から読みで勝負する。簡単な一手を指すにも、若手は百手も二百手もと膨大な量を読んで指すことになる。
⇒若いときにはそうした後から思うと不必要に思えることを積み重ねることが大事、と読んだ。
- 対局が終わったら、その日のうちに勝因、敗因の結論を出す。そして、翌日には真っ白な状態でいたいと思っている。勝った将棋もすぐに忘れたい。
⇒個別の解をそのままストックしても役に立たない。原因分析をして、それを体に染み込ませて初めて役に立つ。
- 情報過多の時代には、自分なりのスタイルや信念を持つことが、非常に大事。それが、イメージを思い浮かべたり、ものを創るといった力につながる。
⇒「自分がある人」になることがクリエイティビティの出発点。
- 将棋を上達するためにしてきた勉強法は、「アイデアを思い浮かべる」「それがうまくいくか細かく調べる」「実戦で実行する」「検証、反省する」の四つ。
⇒ビジネスでも基本は同じ。まさにPDCA。
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1. これは将棋の本ではない [ こんさーる日記 [2006] ] 2006年01月08日 21:04
ブッシー大統領の影響を受けて「決断力」を読んだ。これは将棋の本ではない。勝負師の本と言うか心理学の本と言うか。とにかく、期待通り興味深く読むことが出来た。 何事においても頂点を極めると言うのはとてつもなく大変なことである。「天才羽生」と言われてきた男は勝....
2. 決断力 情報戦の敵は自分の物忘れだった? [ ハムりんの読書 感想日記 おすすめの本 ] 2006年10月09日 12:42
決断力
感想☆☆☆ 羽生善治 角川書店
四冠を守り続けている棋士、羽生さんのエッセイ。
勝負師としてのいろいろなことを
分かりやすく紹介しているので、
将棋に興味がなくても楽しい展開です。
「「将棋を指すうえで、一番の決め手になるのか何か?...
3. 成功の棋士のいう決め手とは?●決断力 [ フォトリーディング@Luckyになる読書道 ] 2007年07月29日 09:37
今回のフォトリーディングのターゲットは羽生 善治さんの『決断力 』です。 決断力 (角川oneテーマ21) 羽生さんといえば、誰でも知ってる将棋会の有名人。 若くして史上初の7冠を達成した超人でもあります。 そんな最高の将棋棋士が出版、しかもそのタイトルが 『決断力...
この記事へのコメント
1. Posted by orataki 2006年01月02日 09:37
はじめまして。oratakiと申します。いつも読ませていただいています。
この本はチラっと見かけただけで手にとって見ませんでした。しかし、このブログを見て読んで見る気がしてきました。将棋は奥が深いですね。ブッシー様は将棋が得意のようなのでいつかお手合わせ願いたいところです。
この本はチラっと見かけただけで手にとって見ませんでした。しかし、このブログを見て読んで見る気がしてきました。将棋は奥が深いですね。ブッシー様は将棋が得意のようなのでいつかお手合わせ願いたいところです。
2. Posted by ブッシー大統領 2006年01月02日 10:49
oratakiさん、はじめまして。読んでくださっているとのことで、とても光栄に思います。
将棋は、なかなか指す時間が取れなくて、ときどきテレビで見るばかりですが、発想の仕方など参考になるところが多いです。
oratakiさんの「こんさーる日記」もリンクに追加させて頂きました。今年から、宜しくお願いします。
将棋は、なかなか指す時間が取れなくて、ときどきテレビで見るばかりですが、発想の仕方など参考になるところが多いです。
oratakiさんの「こんさーる日記」もリンクに追加させて頂きました。今年から、宜しくお願いします。
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