2006年03月30日

【書評】下流社会 新たな階層集団の出現2

【評価】あくまでも仮説のひとつとして読む


【概要】
「昭和4世代欲求比較調査」(2004年11月、調査対象800 ※有効回答数861から男女別世代別各100名を無作為抽出)、「女性階層化調査1次調査」(2005年5月、調査対象2000)、「女性階層化調査2次調査」(2005年6月、調査対象600)の3調査に基づいて書かれた本。

「中の中」という意識を持った中流層が減り、「上流」と「下流」に意識が分化する傾向にある。特に中から下に下降する人が多い。そこでこれを「下流社会」という造語で呼ぶ。「下流」はいわゆる「中の下」であって「下層」とは異なる。

これまでは、「中」に向けて商品を大量につくって売ることが求められてきた。だが、下流社会では、「上流」に物を売るノウハウが求められるようになってくる。

下流社会において階層格差の固定化を防ぐには、基本方針として所得の低い人ほど優遇される「機会悪平等」を掲げる必要がある。具体的には、「下駄履き入試」や「東大学費無料化」「上流のノブレス・オブリージュ」などを仕組み化すべきだ。


【コメント】
統計的調査を基礎にした本は、注意深く読むことが求められ、流し読みするのに適した本ではない。この種の本では著者を全面的に信頼することは危険であるからだ。

本書の中盤では、独自の調査結果による様々な見方を示している。世代、性別、収入などによって、性格、消費、食生活などはどのように異なるのか。どのセグメントが、どのようなライフスタイルを持っているのか、などなど。

マーケティングとして、どのような商品をどのような層をターゲットに売るべきか。著者のように仮説を立てて臨むことは大事だし、また統計的に十分なサンプル数を確保することが実務上は必ずしも正しいとは限らない。そして実務では、必ず打ち手に対して検証が存在する。結果が、仮説の正否を明らかにしてくれる。

しかし「社会論」となると話は別だ。カバーには「消費社会論」と書かれているが、確立した論には至っていないと思う。最後「おわりに」に書かれている「機械悪平等」の提言も、取って付けたようで訴えるものがあまりない。本書は、あくまでもマーケティング上の仮説の一つとして読むべきだろう。

また、写真とそれに付けられたキャプションが酷く意図的で、見るに堪えないと思ったことも記しておく。
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